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回数券の誠実な設計と説明の仕方

Q. 治療計画に基づいた回数券の誠実な設計方法は?

A. 患者の主訴とGAP理論に基づく臨床推論から、根本原因と改善プロセスを明確化し、必要な治療回数と期間を提示することで、患者の納得感を高める回数券設計が可能です。

臨床現場で「回数券の販売に抵抗がある」「患者様に納得して回数券を購入してもらうにはどうすれば良いか」といったお悩みを抱える治療家の方から、ご相談を受けることがあります。この問題の根底には、患者様の症状に対する見立てが曖昧で、結果として明確な治療計画を提示できないという共通の課題が見られます。今回は、そのような見立ての課題と、GAP理論に基づいた解決策、そして誠実な回数券設計への応用について、臨床パターンを共有します。

症例提示

臨床でよく相談を受けるパターンとして、慢性的な症状に悩む40代女性のケースをご紹介します。この方は市川市在住で、IT企業でのデスクワークが中心の生活を送られています。主訴は3年続く慢性的な肩こりと腰痛で、特に夕方から症状が悪化し、週末には頭痛を伴うこともありました。過去に整形外科を受診し「異常なし」「姿勢の問題」と診断され、湿布と痛み止めを処方されるも改善には至りませんでした。また、近所のマッサージや整体院にも通われ、施術直後は一時的に楽になるものの、数日後には元の状態に戻ってしまうという経緯で、根本的な解決を求めて当院にご来院されました。

初回評価|従来の見方ではどうなるか

多くの治療家がこの症例に対して最初に行うであろう評価は、症状のある肩と腰の局所的なアプローチです。例えば、肩甲骨周囲筋の触診で強い硬結を認め、肩関節のROM制限(特に外転・外旋)を確認し、腰部では多裂筋や脊柱起立筋の緊張、腰椎の可動性低下を評価するでしょう。骨盤の歪みや猫背などの姿勢不良も指摘され、「肩甲骨の動きが悪い」「骨盤が歪んでいる」といった見立てがなされがちです。しかし、これらの局所的なアプローチだけでは、患者様は一時的な症状緩和しか得られず、根本的な原因が解決されないため、数日後には症状が戻ってしまいます。この見立てでは、回数券の必要性を「症状の緩和を継続するため」としか説明できず、患者様は「結局、対症療法を続けるだけなのか」と感じ、納得感を得にくい状況に陥ります。

GAP理論で再評価|神経・構造・重力の3軸

GAPアカデミーでは、痛みや症状を「結果」と捉え、その根本原因を「神経ストレス+構造破綻+重力適応の失敗」として3軸で評価します。この40代女性の症例をGAP理論で再評価すると、局所ではなく全身の機能ユニットの連動と、特に神経の滑走性に注目します。

  1. 足部(接地)の評価:
    • 右足関節の背屈が約10°と制限(正常は約20°)が見られ、足趾の把持力も低下していました。
    • 立位での重心動揺テストでは、特に後方への動揺が顕著で、接地機能の不全が示唆されました。
  2. 股関節(伝達)の評価:
    • 左股関節の内旋が約20°と制限(正常は約35°)があり、歩行時の骨盤回旋に影響を与えていました。
    • 大腿骨頭の安定性テストでは、左右差が認められ、股関節の荷重伝達機能に問題があることが分かりました。
  3. 胸郭(制御)の評価:
    • 胸郭の拡張検査では、特に下部胸郭の動きが乏しく、呼吸パターンが浅いことが確認されました。
    • 胸椎の可動性も全体的に低下しており、自律神経系の関与が考えられました。
  4. 神経評価:
    • 上肢では、右腕神経叢(特に腋窩神経、正中神経)に滑走不全の兆候が見られ、これが肩こりの原因の一つと考えられました。
    • 下肢では、左坐骨神経、特に総腓骨神経の滑走性が低下しており、これが腰痛や下肢の違和感に影響を与えている可能性がありました。

この患者様の場合、足部の接地不良が股関節の代償運動を誘発し、最終的に胸郭の機能不全と自律神経の乱れを引き起こしているという、機能ユニットの連鎖が明確になりました。

見立ての結論|どの神経・どの構造が問題だったか

この症例における慢性的な肩こりと腰痛の根本原因は、単なる筋肉の硬結や骨盤の歪みではなく、足部からの接地機能不全に起因する全身の機能ユニットの連鎖的な破綻にありました。特に、右足関節の背屈制限と左股関節の内旋制限が、重力適応の失敗を引き起こし、その代償として胸郭の動きが制限され、自律神経の乱れに繋がっていました。神経単位では、右腕神経叢と左坐骨神経(総腓骨神経)の滑走不全が、各部位の症状を慢性化させている主要因と特定できました。局所へのアプローチだけではこの機能連鎖を断ち切れず、神経ストレスが持続していたため、症状が繰り返し出現していたのです。

アプローチの方向性

GAP理論に基づくアプローチは、評価優先順位に従い、足部から開始し、股関節、胸郭へと順に進めます。具体的には、まず足関節の背屈制限を改善し、足趾の機能を回復させることで、適切な接地と衝撃吸収能力を取り戻します。次に、股関節の可動性と安定性を高め、骨盤の不均衡を是正することで、下肢からの荷重伝達をスムーズにします。そして、胸郭の拡張性を改善し、呼吸機能を正常化することで、自律神経系のバランスを整え、上位ユニットの制御能力を高めます。これらと並行して、特定された神経(右腕神経叢、左坐骨神経)の滑走性を回復させるための神経モビライゼーションを実施します。この体系的なアプローチにより、症状の根本原因に働きかけ、再現性のある変化を生み出すことが可能になります。

この症例から学ぶ視点

  • 症状の場所にとらわれず、全身の機能連鎖、特に足部・股関節・胸郭の連動を見ることが重要です。
  • 神経の滑走性や圧迫、伸張ストレスの評価は、慢性症状の根本原因特定に不可欠な視点です。
  • 体系的な臨床推論に基づいた治療計画は、治療家の自信と患者様の納得感に直結します。
  • 明確な見立てと治療計画があるからこそ、回数券の必要性を論理的かつ誠実に説明できます。
  • 「治せる治療家」になるためには、教科書的な知識だけでなく、臨床現場での実践的な応用力が求められます。

よくある質問(治療家向け)

Q. この症例で他にどんな鑑別を考えるべきでしょうか?

A. 慢性的な肩こり・腰痛・頭痛の症例では、内臓体性反射、特に肝臓や腎臓の機能低下、または自律神経系の機能不全も鑑別に入れるべきです。胸郭の動きの制限は、横隔膜の機能不全や呼吸補助筋の過活動を示唆することもあります。また、過去の外傷歴や心理的ストレスの有無も詳細に聴取し、多角的な視点から原因を特定することが重要です。

Q. 他院では何が見落とされがちだと考えられますか?

A. 多くの治療院では、症状のある局所へのアプローチに終始し、全身の機能連鎖、特に足部からの接地、股関節の伝達、胸郭の制御といった機能ユニットの重要性が見落とされがちです。また、神経の滑走性や圧迫ストレスといった神経学的な視点での評価が不足しているケースも多く、結果として対症療法に留まり、症状の慢性化を招いています。

Q. 回数券の説明で患者が納得しない場合の対処法は?

A. 患者様が納得しない場合、多くは治療計画と改善プロセスの不明確さに原因があります。GAP理論に基づく明確な評価結果と、それによって導き出された根本原因、そしてその原因にアプローチするための具体的な治療ステップと予測される改善期間を、専門用語を避けつつ丁寧に説明することが重要です。改善の個人差や、患者様の協力(セルフケアなど)の必要性も正直に伝えましょう。

Q. セルフケア指導をどう設計すれば、治療効果を最大化できますか?

A. セルフケア指導は、患者様の現在の状態と目標に合わせて個別化することが重要です。この症例では、足部の機能改善(足趾の運動、足関節のモビライゼーション)、股関節の安定化(軽い股関節屈曲・伸展運動)、胸郭の可動性改善(深い呼吸練習)など、評価で明らかになった機能不全に対する簡単な運動を指導します。過度な負担を避け、毎日続けられる範囲で、段階的に負荷を上げていく計画を立てましょう。

Q. 治療効果の評価指標として、主観的な痛みの他に何を見るべきでしょうか?

A. 主観的な痛みの変化(VASなど)はもちろん重要ですが、客観的な指標として、初回評価で制限が見られたROMの変化(例:足関節背屈角度、股関節内旋角度)、呼吸パターンの改善、姿勢の変化(静的・動的)、重心動揺の変化、そして神経学的検査(神経モビライゼーション時の症状変化など)を定期的に評価します。これらの客観的データは、患者様への説明材料としても有効です。

Q. GAP理論を回数券設計にどう活かせますか?

A. GAP理論は、症状の根本原因と改善プロセスを明確にするため、患者様に対して「なぜこの治療が必要なのか」「なぜこれだけの回数や期間がかかるのか」を論理的に説明できます。例えば、「足部から胸郭まで全身の機能連鎖を整えるには、〇回程度の施術が必要です」と具体的に提示することで、対症療法ではない根本治療への投資として、患者様は回数券の価値を理解しやすくなります。明確な治療計画が、誠実な回数券設計の土台となるのです。

このような体系的な臨床推論と、それに基づいた治療計画の設計は、山根悟(D.C.)が主宰するGAPアカデミーの月3回開催セミナーで、実技を含めて深く学べます。患者様の症状を根本から見立て、「治せる治療家」として自信を持って回数券を提案したい方は、ぜひGAPアカデミーのセミナーにご参加ください。教科書の先にある、もう一段階深い見立てと、再現性のある施術技術を習得し、治療家としての視座を高めましょう。セミナー詳細・申し込みはサイトトップ(https://www.japan-gap-association.jp)から。

GAPアカデミーのセミナー情報

理論と技術を確立でき治せる柔道整復師・鍼灸師・セラピストを育てるセミナー(GAP理論に基づいたカイロプラクティック技術指導)

主宰: 山根悟(D.C.(Doctor of Chiropractic))

開催: 月3回のセミナーを開催しています

治療方法に困っているセラピスト・国家資格保持者の方は、ぜひ一度サイトをご覧ください。

🌐 https://www.japan-gap-association.jp

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