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【ハイドロリリース】筋膜に対する新しい治療法について徹底解説

最近、筋膜リリースって流行していますよね?でもなぜ筋膜にアプローチすれば痛みが取れるのかよく分かっていません。しかし、筋膜に対して確実性が高くなっている治療法の一つがハイドロリリースになります。

今回はそのハイドロリリースについて解説していきたいと思います。最後に動画でも紹介いたしますのでそちらもご覧頂ければと思います。

ハイドロリリースって何?

ハイドロリリースって何?

ハイドロリリースとは、筋膜リリースと差別化する意味で作られた造語で、生理食塩水を入れて痛みを取り除く方法です。生理食塩水が入って痛みをリリースすることから「ハイドロリリース」です。

理論的には、エコーを使用して筋肉と筋肉の間にある癒着しているfasciaに対して、生理食塩水を入れることによって癒着(接着:adhesion)が起きている部分の滑りを良くする。または筋肉と神経が一緒に固まった状態で動いてしまって神経痛のような痛みが出る場合に、潤滑性が上がることで一緒に固まっていた筋肉と神経が独立して動くようになる為、痛みが取れるという考え方です。

 

ハイドロリリースの症例報告

ハイドロリリース 症例報告

首がよく曲がらない患者さんが居ました。圧痛部位を探すと、その部分には橈骨神経があります。その圧痛部位に試しに注射針を進めて、生理食塩水をほんの少量入れた結果、途端に手首が曲がるようになり痛みが無くなった。fasciaリリースは、fascia、神経、血管周囲、靭帯そのものに打っても効果があるのです。体中のあらゆるところに治療できます。

感覚神経は、筋肉を包むfasciaに多く存在するといわれています。筋肉内ではなく、それを包むfasciaに感覚神経がたくさんあるから効果的という訳です。慶応大学の1994年に今西宣晶先生が「機能的観点からみた脂肪筋膜組織の解剖研究」を報告しています。以下引用

筋骨格系の運動が円滑に行われるために 潤滑性脂肪筋膜系(LAFS:lubricant adipofascial system)が存在することを報告しており、現在日本で筋膜と定義されているものは LAFS で構成されていることを意味します(今西 , 慶応医学 , 1994)。ここらかも LAFS の潤滑性低下が 障害を引き起こす可能性が考えられます 。神経の周囲にもLAFSがあります。 LAFS がこれからの運動器治療のキーワードになります。

ハイドロリリース イメージ図

諸外国では、ハイドロダイセクション(hydrodissection)という用語で通じます。生理食塩水による末梢神経周囲結合組織へのアプローチが,2011年にMulvaneyらによって「ultrasound-guided “hydroneurolysis”,or “Hydrodissection”」でケースレポートとして報告され,そのメカニズムとして「神経を圧排している結合組織を緩め神経電導を回復させる。それは,局所麻酔やステロイドなどの薬理学的な効果ではなく物理的効果により,組織の虚血による影響を改善させている可能性がある」とも議論されています。ダイセクションとは、切開するというイメージです。例えばある神経が絞扼されているところとか、肘部管で絞扼されているところを、液体でそれを剥がす、つまり切開していくイメージです。

また,2016年にはCassがCurrent Sports Medicine reportsに「Ultrasound-Guided Nerve Hydrodissection: What is it? A Review of the Literature」を発表し,その有用性・安全性,さらなる研究進捗(例:治療前後の神経伝導速度の変化)が期待されています)。hydrodissectionという手技は,fasciaの観点からは「神経周囲のLAFS(潤滑性脂肪筋膜系)を中心とした結合組織の治療であり,圧迫解除による神経伝導の改善と,LAFS自体の治療を兼ねた治療手技」と理解できます。神経周囲の異常なfasciaへの治療効果のメカニズムは,剥離以外にも,水分負荷,剥離以外の物理刺激など多様な因子が想定されています。

ハイドロリリースを行うと、「ポリモダール受容器の閾値を上げる」「脂肪組織と問題組織の滑走性改善」「リンパ液などの水分低下が脂肪組織に影響して、侵害刺激に過敏になり、滑走性を低下させラビング症候群(摩擦)からくる痛みの予防をする」といった効果を期待することが出来ます。

ある症例として、膝内側の痛みに伏在神経麻痺でハンター管などに、ハイドロリリースを試行したところ、その場で痛みが改善した例が報告されています。

ハイドロリリースを治療院で行なうには?

ハイドロリリース出来ないでしょ?

整骨院や整体院でエコーを使用しての診断は禁止されています。ただし、エコーを使用して患者さんに診断行為を行わなければ良いわけです。エコーで先生が確認してリリースする部分に対して本来なら生理食塩水を用いられていますが、私たちが出来ることは「鍼」「オイルマッサージ」といった方法で行ないます。

表面から刺激を与えることによってハイドロリリースと同じ効果を実現することが出来ます。ですからその部分に対して鍼、オイルマッサージを試してみましょう。いい結果が出ると思われます。

ハイドロリリースをイメージしにくい方はこちらの動画をご覧になってみてください

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